第一回ネツト句会 - 合評会

| コメント(0) | トラックバック(0)

 まずはルールを、うまいなー共感できるなー句を2句選んでください。そしてこれは2回目からと思ったのですが1回で終わる可能性があるので一言文句有り
の逆選も1句選んでください尚逆選は無しでも構いません。選句は太田まで携帯メールで宜しく。

一 走る子のほほをかすめる青田風
二 城跡と言われてみれば雲の峰
三 紅まだら粥跡削る小正月
四 内緒話れもんの闇は青しずく
五 まぐろしか食べられない!明日も晴れ
六 蝉時雨鍋底を這う院の庭
七 雷雨過ぎパッションフルーツ芽を伸ばす
八 宿酔や箸置きの鮎ポケットに
九 伸びをしたビルマの猫をぎゅっとね
十 炎天に混じる色なし影を踏む

原稿用紙に書き写して 悩んで下さい   世話役

これは伊藤の代筆です。連絡は世話役、太田君まで。

へびいちご - 合評会

| コメント(25) | トラックバック(0)

 毒々しい濃赤色の実を選んで摘み取り、ぼくは口いっぱいにヘビイチゴを頬張った。十一歳の初夏の頃。
 校庭の合歓の木には妹が好きだったピンクの花が満開だった。彼女が好んで描いたおとぎの国のピンクのバク、の長い睫毛のような不思議な花。
 ヘビイチゴは真っ赤に熟していたのに、青くなる前の白い未熟なイチゴのような、甘くも酸っぱくもないぼそぼそした食感をしていた。ぼくは躊躇わず、ひとおもいに呑み込んだ。
 どれだけ畦道にしゃがんでいただろう。見上げる空には羊たちの群れが何処までもつながり、風がぼくの前髪を揺らした。
 ぼくはイチゴのような真っ赤な血を吐いて死ぬはずだった。
 母は迷信を鵜呑みにしていたのだ。
 口元を拭うと、掌が無駄に紅に染まった。

        ***

 日曜の午後の田んぼ道、土手の熟したヘビイチゴの実を美味しいよって、偽って妹に食べさせた。妹は縁日の真っ赤な金魚のように口を開けて、嬉しそうに頬張った。
 母が妹の口を抉じ開け、果実を指で掻き出し、噛み砕かれた果肉は背中を叩きながら吐き出させた。
 ぼくは初めて母にぶたれた。母の手はよく撓う鞭のようで、頬に熱いものが走ったかと思うと、左側だけジーンと痺れてぐにゃぐにゃに膨張した。耳の中でクラス中の嫌な連中がトライアングルを狂ったように鳴り響かせていた。ぼくは自分の痛みより母の動揺に驚愕した。ぼくは取り返しもつかない事をやってしまったのだ。
 妹は初めはきょとんとしていたが、二人のうろたえぶりに驚き、大声で泣き出した。妹が死んだらどうしよう。ぼくも声を上げて泣いた。

 大丈夫!全部取ったから。
 唾を吐きなさい。ぺって。
 そうそう。もういっぺん吐いて。
 苦しい?
 そう、もう大丈夫。
 白雪姫みたいに、すぐに良くなる。
 毒イチゴはあっちへ飛んでった。

 妹が出来るまで、ぼくは一人っ子の鍵っ子だったから、孤独な遊びに慣れ、孤独と友達だった。そんなぼくの王国に妹は無邪気に裸足で入り込み、乳と蜂蜜の付いた掌でべたべたとそこらじゅうを撫で回し、舌足らずにぼくを呼び、追い回した。
 妹はいつもは母にべったりと纏わりついているくせに、母がいないとぼくの後を仔犬のようにクンクン鼻をいわせながらついてきた。

 どうしてだろう。ぼくは不意に妹に悪さをしたくなる。

 その年の夏妹は溺死した。
 ぼくが殺した。

          ***

 何か変な臭いしないか?って友人がぼくの部屋に這入ってすぐに鼻をひくひくさせた。いや、ぼくが先回りして、訊いたのだ。
 友人は怪訝な顔をして、部屋を見渡し、寝乱れたベッドや、汚れた食器やグラスがそのままになったシンクを見やった。
 ぼくはハッとした。不用意だった。しまったって。けれど友人はまだ気付いていないみたいだった。ぼくが気にしていた臭の在り処はその方向ではなかったから。
 悪いな。散らかってて。何処かほかで呑まないか?
 ぼくは友人を部屋には上げず、ショルダーバックを掴むと外に出た。
 午後の日差しは黄色みを帯び、黄昏への予感を漂わせて、電信柱の影が長くぼくの足元に伸びていた。ぼくは黙って友と肩を並べて歩いた。

 ぼくは自分の遺体を押入れに隠してあった。
 それは勿論在り得ないことだし、夢に違いなかった。けれどありありと腐乱していくぼくの身体の臭いを嗅いだのは事実だった。だから悪夢を打ち消すために押入れのノブに手を掛け、呼吸を整えて静かに扉を開けたのだ。
 そこにあったのは衣装ケースに入った季節外れの衣類や、客用の寝具、段ボール箱から溢れ出した書類やがらくた類。
 もしそこにぼくの遺体があったら、ここにいるぼくはどんな存在なんだろう。
 馬鹿な話だけれど、ぼくはその日以来何処かでびくびくしていた。押入れから腐乱臭が漏れ出ている気がしてならなかった。

 少し痩せたんじゃないかって、友人が心配した。
 このところ寝不足なんだ。眠りが浅くて、変な夢ばかり見る。
 昨日見た夢の続きを見たり、夢の中で自問自答したりして、夢なのか現実なのか時々わからなくなる。
 友人はぼくがどんな夢を見るのか知りたがった。彼はまったく夢を見ないらしい。眠りが深いから、やすやすとバクに食べられているに違いない。

 兄貴がさ、すぐ帰って来いってうるさいんだ。今度の土曜日付き合ってくれないか?って友人が頼んだ。
 久しぶりだからお前にも会いたいって言うんだ。いいだろ?
 何故ぼくまでって思ったけれど、断れるわけがない。ぼくにとっても彼らは家族と同じだったからだ。

 おふくろが去年からどうも様子がおかしいらしいって話、したよな。一度迷子になってから、外出しなくなったらしい。
 その日もいつもの公園沿いの道を散歩していて、気持ちがいいからもう少しって軽い気持ちで、気付くと知らない町にいた。そこは何時しか黒い運河沿いの道で、そのうち日も暮れてくる。怖くなって早足でもと来た道を引き返したが、見たこともない堤防に遮られて先へ進めない。
 何時の間にか大きな十六夜の月が煌々と出ていて、箒を逆さにしたようなケヤキの根方で心細くなってただただ泣いていたんだって。
 すると何処からか童女が現れて毬を撞きながら数え歌を唄う。その歌詞は聴いたことがあるようだけれど思い出せない。童女は時折股の間に毬を潜らせながら、両手で器用に毬を操ってケヤキの周りを楽しそうに回るので、わたしにも撞かせてって、おふくろが言うと毬を差し出して手招きする。
 立ち上がって歩み寄ると、月明かりで伸びたケヤキの影から今まで隠れていたおふくろの影が現れて、童女が嬉しそうに駆け寄り飛び跳ねて、
 今からあなたがオニ!って、おふくろの影を踏んだ。

 近々わたしは死ぬに違いないっておふくろが言うんだ。
 そんなの夢を見ただけだって兄貴は笑いとばしたんだけど、見たこともないサッカーボールを抱えていてぞっとしたって。
 それから母は誰かが一緒じゃないと外出しなくなった。

 ところが、しばらくして兄貴は締めたはずの裏口の鍵が時々外されているのに気付いたそうだ。おふくろに問いただしてみても知らないって言う。けれどおふくろの外套から夜の匂いがするんだって。

 いいだろ。今度の土曜日。
 何故だろうな。お前や、お前の妹のこともよく話すそうだ。お前に会いたがっているっていうんだ。

          ***

 先日、シンフォニイホールでサムラゴウチの交響曲ヒロシマは、まさに「死と再生のものがたり」でした。
 いきなり「死の町」が現れ、それは春に見た陸前高田の海辺の風景そのものでした。
 音は、怒りとなり哀しみとなり、絶望となりあらゆる感情を抉りつづけながら、それは耳鳴りの轟音であり、サムラゴウチそのひとの人生を描きだしながら、耳が聴こえなくなった「無音の世界」に突如、襲われてこころが震えました。 ベートーベンは、最後に「歓喜」を見出しますが、これでもかと続いた苦しみの果てに辿り着いた第三楽章のフィナーレは、慈愛のようにやさしい光でした。
 闇を深く見続けてきた果てに辿り着くことができた暖かいひかりのような弦の音に、涙が止まりませんでした。最期の鐘の音は、まさに「祈り」でした。
 コトバを持たない音楽の美しさは、「浄化」のプロセスをともに感じる一過性かもしれません。
 会場から、サムラゴウチが舞台にあがり、拍手は鳴りやまず、総立ちになって30分、凄いエネルギーをもらって帰ってきました。再生の力が、そこにありました。
 恐るべし、サムラゴウチの世界でした。

縦書き表示の採用 - 合評会

| コメント(0) | トラックバック(0)

「群れ」の復活とか、作品の発表には縦書きが必須ではないかと考えましたが、
これが結構難しかったです。
JavaScriptとh2v.jsを使って、どうにか縦書き表示ができるようになりました。
参考までに、「読書会」のブログを縦書き表示ができるようにしておきました。
よろしければ覗いてみてください。
目障りならクリックすることで、横書きにもなります。

ただ投稿するだけでは縦書きにはなりません。
タグの挿入など必要ですので、ご連絡ください。
といっても不勉強なので、まだ細かい編集はできませんが。

誠子さんの言うとおりです。
最初の読書会はやっぱりこれだったと、
後悔したので、追加させて下さい。
買わせるの悪いからと、慮ったのです。

色彩を持たないとは、ベートーベン的ハンディキャップのことかと思ってたら、全く違った。
さすが春樹さん、出だしのところから予想を超えてくる。
一方の舞台が名古屋であり、愛知出身の方には馴染み深い名前がいろいろ出てきます。

わたしは死と再生の物語と捉えました。
ただ、死と再生の物語としては完結していないので、続編が出そうな気がします。

文研時代を思い出した。
あまり深く付き合わなかった、
田内くんとか斉藤くんとか。

IMG_0259.JPG

川上未映子 - 読書会

| コメント(0) | トラックバック(0)

読書会と言えば、図書館にある本か、
文庫本でしょうね。
ということなら、先週借りたこれはどうですか?

book.jpg

川上未映子の作品は3冊目、
「先端で、さすわ さされるわ そらええわ」
にはついていけなかったけれど、
「ヘヴン」は結構良かった。
所どころ異論はありますが、
手元にないので。

「水瓶」散文詩?小説?
あとは誠チャンに任せます。

ob2.JPGob3.JPG

2013年度は田村さんの計らいで5/25エクシブグランディ浜名湖になりました。

ウナギもワタリガニも出てこず残念でしたが、大振りなサザエのお造りは美味かった。

来年はエクシブ琵琶湖でカモを食べたかったですが、春になるそうで、それなら鮎がいいなと、個人的見解。

?

最近のコメント

ウェブページ

Powered by Movable Type 5.2.3